子宮内膜症

子宮内膜症について

子宮内膜症とは、子宮内膜または子宮内膜に似た組織が、子宮以外の場所に発生してしまう疾患です。
10代後半から発生する可能性がある疾患で、20~30代の女性の発症が多いと言われています。日本では子宮内膜症患者数が100万~200万人ほどいるとされています。発症原因は免疫の異常や、経血が卵管を逆流して起こる説などが挙げられていますが、はっきりと解明されていません。

子宮内膜症になる場所

卵巣やダグラス窩(子宮と直腸の間にあるくぼみ)、卵管、膀胱子宮窩(子宮と膀胱の間のくぼみ)、仙骨子宮靭帯(子宮を後ろから支える靭帯)などは、子宮内膜症になりやすい場所です。このように、特に骨盤に囲まれた骨盤腔内のような場所に見られがちですが、稀に、肺やへそなどに発生するケースもあります。

卵巣チョコレート嚢胞

卵巣に子宮内膜症が起きると、卵巣内に血液が溜まります。古くなった血液がチョコレートに見えることから、「卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)」と呼ばれています。
チョコレート嚢胞は、嚢胞中に血液が溜まるため、卵巣が腫れあがります。ただし、「茎捻転」はほとんど発生しません(通常、他のタイプの卵巣嚢腫がある程度大きくなると、卵巣の付け根の部分が茎となります。この茎が捻転するのを茎捻転といいます)。
なぜなら、チョコレート嚢胞は、周りの卵管や子宮、骨盤壁、腸管に癒着しているケースが多いため、動きにくく固定化され捻転しにくいとされています。また、さまざまな症状が出現し、適切な治療を受ける必要がある場合があります。
治療が必要となる理由は、以下の点が挙げられます。

  • チョコレート嚢胞による圧迫された痛み
  • 周囲の癒着による痛み
  • 嚢胞の破裂リスクがある
  • 卵子の質の低下を招く
  • チョコレート嚢胞のがん化(可能性は決して高くありません)

子宮内膜症は増えているのか

子宮内膜症について調べた方の中には、書籍や雑誌、ホームページなどで、「子宮内膜症は近年増えている」という情報を目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、実際のところ「増えている」と言いましても、昔は「子宮内膜症」という疾患の概念すらなかったため、昔と今の比較は難しいです。
ただ、現代の女性は昔の世代より、平均初潮年齢が早くなり、平均閉経年齢が52歳まで延びました。また、女性の社会進出によって晩婚化が進んだことで、妊娠回数は昔より減少傾向にあります。このことから、現代女性と昔の世代の女性では、一生涯における月経回数に差を認めることが考えられます。以上のような背景から、現代女性の方が子宮内膜症にかかる可能性が高くなっていると考えられています。

「炎症」と「癒着」

子宮内膜症の病態は、主に「炎症」と「癒着」です。「炎症」が起きた組織は「癒着」を起こし、痛みは炎症や癒着によって生じます。また、子宮や卵巣の周囲で、一番痛みに弱い組織は腹膜です。腹膜で炎症や癒着が生じた場合、特に痛みを生じます。
また、卵巣にチョコレート嚢胞がある場合、多くの方に卵巣周囲の癒着、中でも骨盤の壁にあたる腹膜への癒着が見られます。さらに卵巣と卵管の間や子宮の後壁、直腸など腸管との間にも癒着を形成します。腹膜や子宮後壁、腸管との癒着は、痛みが比較的強いとされています。
さらに、癒着は痛みだけではなく、不妊も引き起こします。特に、卵子を取り込んだり、精子が通過して受精卵のできる場となる卵管に癒着が生じると、妊娠に悪い影響を及ぼします。そのため、定期的な婦人科検診により早期に病変を見つけ、適切な治療を受けることが重要となります。

子宮内膜症の症状

月経痛・腰痛

通常、思春期の月経痛は、何らかの疾患でなくても現れることもあるので、あまり心配するものではありません。また、多くの月経痛は20歳頃になると徐々に軽減していき、25歳くらいになると消失します。
しかし、中には25~30歳頃に再び激しい下腹部痛や腰痛が起こり、月経が繰り返される度にだんだん酷くなる方もいます。この場合、子宮腺筋症とともに子宮筋腫、子宮内膜症の発症が疑われます。
子宮内膜症にかかって癒着が進行すると、月経時以外の時でも下腹部痛があらわれるようになります。その場合は、速やかに婦人科へ受診してください。

過多月経・過長月経

過多月経や過長月経は、子宮の筋肉中に子宮内膜症が発生した時に起きる症状です。子宮の収縮が阻害されるため経血量が増量したり、子宮内膜の再生が遅れることで月経の期間が長くなったりします。

骨盤痛
(月経時以外の排便痛・排尿痛・性交痛・下腹部痛・腹痛)

直腸や膀胱付近に癒着が起きると、排便痛・排尿痛が引き起こされます。子宮と直腸の間が癒着した場合は、性交痛が生じます。

子宮内膜症の診断

子宮内膜症の診断には、2通りの方法があります。

  1. 問診、内診、血液検査、超音波、MRI、CTなどによる方法
  2. 腹腔鏡による方法

1の方法は患者様への負担も軽いため、よく用いられています。
しかし、1の方法を行った場合で子宮内膜症と診断できる確率は75%程度とあまり正確に診断できるとは言えません。小さな子宮内膜症を見つけるには、2の腹腔鏡による方法を用いる必要があります。ただし、腹腔鏡は患者様に負担がかかる方法のため、不妊症がなく、自覚症状にも乏しい場合は積極的に活用しません(現在は検査目的のみでの腹腔鏡はほとんど行われていません)。
とはいえ、不妊症の方や、月経困難症がある方、日常生活に支障が出る症状でお困りの方は、腹腔鏡検査も検討し、積極的な検査を推奨することがあります。検査に関しては、当院医師と相談の上適切な検査を行いましょう。

子宮内膜症の治療

症状や年齢、妊娠の希望などをもとに手術療法または薬物療法を選択します。
手術は病状を目視でき、病変部位が除去できるというメリットがある一方で、創部の傷(手術による傷跡)が残ったり、入院の準備や手続きなどの負担がかかったりするデメリットもあります。一方、薬物療法は、入院する必要がないメリットもありますが、完治するまでに時間がかかったり、薬の副作用が起きたりするというデメリットもあります。
患者様に合わせた治療法を選択していきますので、症状だけでなく、将来に対するお考えなど、お気軽にご相談ください。

手術

薬物療法では難しい内膜症の方や、妊娠を希望する内膜症の方は、手術療法が効果的です。
近年では、開腹手術だけではなく、腹腔鏡という内視鏡を用いる手術が主流となってきました。
内視鏡を用いた手術では、内膜症の発生箇所を摘除し、癒着部分をはがすことができます。また、小さな内膜症でしたらレーザーで焼き切ることも可能です。
なお、子宮内膜症のある人で、かつ不妊治療を受けている方には、早急な手術を推奨しております。
腹腔鏡下の手術を推奨していますが、場合によっては開腹術となる可能性もあります。
また、お腹の中の癒着をはがしたり、子宮内膜症を電気メスやレーザーメスで焼き切ったり、卵巣に出来た子宮内膜症(チョコレート嚢腫)を手術で治療したりすると、妊娠率が高まると言われています。これらの症状がみられた場合は、手術と一緒に腹腔内洗浄も行う場合もあります。治療は医師と話し合って決めるので、気兼ねなくお声がけください。

妊娠を希望される場合

将来の妊娠を考えている方には、病変部位のみを切除し、正常な卵巣と子宮の部分を極力残すことで、自然妊娠できる可能性をもてる場合もあります。現在では、保存手術は開腹的手術より、腹腔鏡手術での方法が主流となっております。 
また、卵巣にできたチョコレート嚢胞を切除すると、手術によってかえって卵巣の予備能力が低下してしまう恐れがあるため、妊娠をお考えで体外受精を視野に入れている方は、手術前に採卵を行い貯卵(受精卵を凍結保存)しておくことをお勧めする場合もあります。
もし腹腔鏡手術での治療や洗浄を行っても、妊娠に至らない時は体外受精も検討する必要があります。

  1. 子宮内膜症の方の場合、体外受精を行った方が妊娠率向上に良いと報告されています。
  2. ただし、子宮内膜症によって卵の質が低下するケースもあるため、完璧な解決法とは言い切れません。
  3. 35才以上の女性で、腹腔鏡手術を受けても妊娠に至らない場合は、早急に体外受精を検討することを推奨いたします。
軽度の場合は
タイミング法(自然妊娠)も可能

子宮内膜症と診断された場合でも、自然妊娠の可能性がゼロになるとは限りません。特に不妊期間が短く卵管の異常がない場合、タイミング法から自然妊娠を目指すことも検討します 。
ただし、卵管の異常が見られた場合は、体外受精や腹腔鏡手術も検討します。患者様に合わせた治療、妊娠方法を検討していきますので、お気軽にご相談ください。

腹腔鏡手術による治療で
自然妊娠を目指す

タイミング法や人工授精を繰り返しても妊娠に至らない場合は、腹腔鏡手術による治療で自然妊娠を目指すこともあります。また、原因不明の不妊症でお悩みだった方の中には、腹腔鏡検査を行うことで子宮内膜症と診断され、適切な治療を開始するきっかけとなり妊娠へと至る場合もあります。特に軽度の子宮内膜症の場合は、腹腔鏡手術で病変を焼いて切ったり、癒着をはがしたりすることで、妊娠率が上昇するとの報告もあります。

早めに体外受精へ
ステップアップを検討する

癒着による卵管閉塞のある方や、タイミング法・人工授精を行っても妊娠に至らない方、男性不妊、不妊期間が2~3年以上の方には、積極的に体外受精を推奨しております。 
これは、子宮内膜症により卵巣の予備能力や卵の質が低下してしまうことがあるためで、後に体外受精を行う際にも影響を及ぼすため、早期に治療を開始することを推奨しております。 

チョコレート嚢胞がある場合

3~4cm以上のチョコレート嚢胞がある場合は、腹腔鏡手術で嚢胞を摘出することを推奨いたします。 3 cm以上のチョコレート嚢胞を摘出した後、自然妊娠の妊娠率が高くなったという報告もあります。 ただしチョコレート嚢胞の摘出手術によって、かえって体外受精の排卵誘発時の卵巣刺激に対する反応性が悪くなったという報告もあるため、手術は慎重に検討する必要があります 。

妊娠を希望されない場合

妊娠を希望されない場合は、左右の卵巣、子宮、卵管などを全て摘除する必要もあります。左右の卵巣を摘除することで、術後に更年期障害の症状が現れやすくなるというデメリットもありますが、将来的に再発の頻度の高く、卵巣の子宮内膜症性嚢胞の場合は稀ではありますが癌化することもあるため、有効な選択肢の一つとなります。特に、チョコレート嚢胞があった場合は、放置すると0.7%の確率で癌化する恐れがあるため、早めに摘除する必要があります。また、40歳以上で、嚢胞が4cmから6cm以上ある方は、卵巣摘出を推奨しております。切除範囲や術後のリスクなど、ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

薬物療法

薬物療法では、鎮痛剤をはじめ主に痛みを抑える対症療法と、低用量ピルや子宮内膜症の進行を抑え、病変部位を萎縮させるためのホルモン療法があります。また、ホルモン療法には、卵巣ホルモンを閉経状態にするものやピルを用いて妊娠状態にするもの等、様々な種類があります。
ただし、薬物療法の中には、早期の妊娠を希望される方には推奨されない治療法もございます。患者様の状態と自覚症状、将来の展望など様々なことを相談しながら治療方針を決めていければと考えております。 

鎮痛剤・漢方薬

鎮痛剤・漢方薬などを用いて、様々な組織との癒着による痛みを緩和させます。
鎮痛剤は、痛みが強くなる前に服用すると、より効果を早く発揮しやすくなります。ただし、これらは対症療法なので、内膜症そのものを完治したり、内膜症の進行を抑えたりする効果はありません。根本的な治療にはなりませんが、痛みに悩むことを少しでも軽減するために行います。
痛みがひどい場合には、お気軽にご相談ください。

経口避妊薬

一般的に「低用量ピル」と呼ばれているものです。 妊娠時に近いホルモン状態にすることで、月経痛などの症状を抑えられます。また、子宮内膜の増殖を抑えるため、経血の量が減り、不正出血も抑えられます。子宮内膜症の治療薬の中には、長期投与により骨への影響が懸念されるものもありますが、こうした懸念も払拭してくれるのも低用量ピルです。しかし、こうした他の治療薬にはないメリットや肌荒れの改善効果もある一方で、吐き気や頭痛、血栓症や肝機能障害等の副作用を生じる可能性もあります。副作用を疑うような症状があった場合には、血液検査等により、薬物治療が適切に行われているか確認することも重要になります。 
なお、軽度の子宮内膜症の場合は不妊治療を優先させる方がよいと言われていますが、これには以下のような問題点もあります。

  1. 子宮内膜症の重症度を判断するのは容易ではない
  2. 子宮内膜症がないと診断されても、後に腹腔鏡検査で子宮内膜症が発見されるケースもある

上記の方は、腹腔鏡下で子宮内膜症の治療を受けたり、洗浄したりすると、妊娠率が向上する可能性が高まります。

GnRhHアゴニスト療法
(偽閉経療法)

子宮内膜症における薬物治療において、初期に行われる治療のひとつです。性腺刺激ホルモンの分泌量を抑えることで、排卵月経が起こらない閉経時に近い状態を作ります。 閉経状態を作ることで、更年期症状が生じやすく、のぼせや発汗、ほてり、頭痛等や骨密度が減少し骨粗鬆症のリスクがあると報告されています。こうした副作用への懸念から、GnRHアゴニスト療法は基本的に6か月を目安として行われる治療です。

ジェノゲスト療法

ジェノゲストは、2008年1月に販売開始された黄体ホルモン製剤になります。低用量ピル同様、子宮内膜症の薬物治療において第一選択薬となる薬です。黄体ホルモンの働きによって、女性ホルモンの分泌を抑え、病変部位の縮小と諸症状の改善をもたらします。 エストロゲンを含まないため、年齢によりますが血栓症のリスクを低く抑えられ、乳がんの発症リスクも高くならずに治療できる点が特徴です。内服治療開始後に不正出血が見られることもありますが、継続することで解消できることが多いことも特徴です。しかし、副作用として肝機能異常を伴うこともありますので、定期的な血液検査により確認することが重要です。

不妊治療と子宮内膜症

子宮内膜症は
不妊症を引き起こします

子宮内膜症の発生しやすい箇所として、子宮と直腸との間のダグラス窩や卵巣内などが挙げられます。
また、子宮内膜症は、卵管や卵巣、腸管、子宮など骨盤内の臓器同士の癒着を起こしてしまいます。こうした妊娠に重要な役割を担う臓器が癒着を起こすと、卵巣が卵の放出や、卵管への卵の取り込み(ピックアップ)、卵管の働きに支障を生じさせてしまい、不妊症へつながると考えられています。しかし、子宮内膜症で妊娠ができないというわけではなく、適切な治療を行うことで、妊娠できる疾患となっています。
なお、子宮内膜症は骨盤内の慢性的炎症です。骨盤内で慢性的な炎症が続くと、骨盤内に水が溜まります。水が溜まると、免疫担当細胞や炎症物質サイトカインが増加します。その結果として、骨盤内が慢性的な炎症状態となり、卵胞の発育の悪化や卵の質が低下し、受精率・妊娠率の低下へ繋がると考えられています。また、卵巣内にチョコレート嚢腫が発生すると、卵巣機能低下が起きます。そのため、子宮内膜症は不妊の原因だと言えるのです。
しかし、子宮内膜症と不妊症の因果関係は、完全には解明されていません。それでも、子宮内膜症による炎症や癒着によって、以下のようなことが起き、妊娠に支障をきたすケースは報告されています。

  • 排卵が難しくなる
  • 卵管の通りが悪くなる
  • 排卵された卵子を卵管に取り込めなくなる
  • 卵子の質の低下を招く
  • 着床に支障をきたす

特に25歳以上で、月経痛がだんだん酷くなっている方は、市販の鎮痛剤で痛みを抑えるのではなく、婦人科検診の受診を推奨いたします。
なお、子宮卵管造影検査(HSG)後に妊娠するケースもあります。不妊症でHSG検査を受けた方の、30~40%が検査後6カ月以内に妊娠すると報告されています。これは、検査をすることで、今まで悪かった卵管の通りが改善されたのではないかと考えられています(現在では、卵管を通して腹部に入ったHSG検査に使われる造影剤が、子宮内膜症で増えているマクロファージの働きを抑え、不妊の改善と関係しているのではないかという説もあります。
当院をはじめとした不妊治療専門の医療機関へ受診することで、最新の知見と治療を受けることが重要です。

子宮卵管造影検査

関連性

  • 重症タイプの子宮内膜症は、不妊の原因になる可能性があります。
  • 不妊症の患者様の30~60%に、子宮内膜症が発見されています。
  • 子宮内膜症の方の30~50%の方が、不妊になると言われています。
  • 子宮内膜症は色々な部分に生じます。発症部位や重症度によっては不妊治療の方法が異なります。
  • 子宮内膜症と不妊は関係していると言われていますが、そのメカニズムがすべて解明されているわけではありません。

疾患の進行度

現在の症状によって、子宮内膜症の重症度を把握することはとても重要です。実際の医療の場では、色々な分類方法が用いられています。その中でも代表的なものを以下にまとめましたので、参考にしてみてください。

ビーチャム(Beecham)分類

第Ⅰ期

骨盤内臓器、漿膜面に散在する1~2㎜の病変、開腹時のみ発見される。

第Ⅱ期

仙骨子宮靭帯、広靭帯、子宮頚部後壁あるいは卵巣に限局性の硬結を触れ、癒着のないもの。

第Ⅲ期

卵巣が少なくとも正常の2倍以上に腫大し、仙骨子宮靭帯、子宮後壁直腸、付属器は癒合が存在し、子宮の移動性が制限されているもの。

第Ⅳ期

ダグラス窩が閉塞し、骨盤内臓器が癒着のため一塊となり、個々の臓器を区別できないもの。Frozen pelvisの例。

内診所見にもとづいた子宮内膜症の古典的な分類.腹腔鏡検査が普及するまでは本分類が主流であった。

r-AFS分類

「r-AFS分類」とは、米国不妊学会(ASRM)による分類方法です。この分類では、腹腔鏡や開腹手術でお腹の中を診察した上で、子宮内膜症病変の大きさと癒着の範囲によって点数を加算して合計点を算出し,Ⅰ期からⅣ期の進行期に分類しています。子宮内膜症「全体像」ではなく、「部位別」に症状を評価して点数化していきます。
R-ASRM 分類は世界的に最も用いられている分類法です。しかし,深部子宮内膜症や痛みの評価がなく,また本分類による進行期と不妊の予後が関連しないとの指摘もあります。

※このテーブルは横にスクロール出来ます。

病巣 ~1㎝ 1~3㎝ 3㎝~ point
腹膜 表在性 1 2 4  
深在性 2 4 6  
卵巣 表在性 1 2 4  
深在性 4 16 20  
表在性 1 2 4  
深在性 4 16 20  

※このテーブルは横にスクロール出来ます。

癒着 ~1/3 1/3~2/3 2/3~ point
卵巣 フィルム様 1 2 4  
強固 4 8 16  
フィルム様 1 2 4  
強固 4 8 16  
卵管 フィルム様 1 2 4  
強固 4* 8* 16  
フィルム様 1 2 4  
強固 4* 8* 16  
Douglas窩閉塞 一部 4
完全 16

*卵管采が完全に閉塞している場合は16点とする
赤色R( )% 黒色B( )% 白色W( )%
Ⅰ期:1~5、Ⅱ期:6~15、Ⅲ期:16~40、Ⅳ期:41以上

EFI(endometriosis fertility index)

2010 年に提唱されたEFI は、妊娠予後評価に優れ、術後自然妊娠する可能性がどれくらいあるのかを予測できるとされている。このことから、術後の体外受精への移行のタイミングを決める際に有用であるとされています。EFIは年齢、不妊期間、妊娠歴および卵管、卵管采、卵巣の状態の評価とASRMスコアを用いて10点満点で算出できます。

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